固溶体には置換型固溶体と侵入型固溶体と、この 2 つが合わさったものがあります。置 換型固溶体と侵入型固溶体のイメージ図を下に示します。

 置換型は固体金属の原子の位置(格子点)に別の金属原子が置き換わって配置された状 態です。侵入型は格子点に並んでいる固体金属原子の間に別の金属が侵入した状態のこと を言います。

 下に、はんだを構成する金属をはじめ、各種金属が作る金属間化合物の一覧 を示します。

 金属間化合物とは 2 種類以上の原子が化学的に結合している状態で、格子を形成する場 合と両成分の原子が定まった空間格子を形成していることを言い、はんだ接続においてはほとんどの場合、金属間結合ができることにより、はんだ接続がなされます。

 

 Cu を基材として考えた場合、共晶はんだで接合した場合、表 2 を見ると Cu と Sn では 数種類の金属間化合物ができていることがわかりますが、Cu と Pb の欄は空白で、この組 み合わせでは金属間化合物ができないことがわかります。

 すなわち Cu と共晶はんだの接続 では Pb は関与せず、Cu と Sn の間にできる金属間化合物が接続の主役だということにな ります。

 これは鉛フリーはんだにおいても同じで、日本で主流の Sn-3Ag-Cu の鉛フリーは んだを考えると、表 2 の Ag と Cu の欄も空白で金属間化合物ができにくい組み合わせであ ることがわかります。

 

 Cu は基材と同じ成分なので感応しやすいですが、0.5wt%しかない ので接続にはあまり寄与していません。

 すなわち鉛フリーはんだにおいても、接続は Sn が 主役だということです。 表 2 では Cu と共晶はんだでは 2 種類の金属間化合物ができるようになっています。これ は低温(250~300℃)で Cu3Sn(ε相)と Cu6Sn5(η層)ができることを表しており、 高温(300℃)以上になると Cu31Sn8(γ層)や(δ層)ができるとされています。

 

 合金層ができれば強い接合ができるというわけではありません。一般に金属間化合物は 硬いのですが脆いのでその部分に力がかかると、割れやクラックが発生しやすくなるので、 機械的強度の点で問題となります。また、導電性や耐食性も落ちるために金属間化合物の 層が厚くなる事は良いことではありません。

 

 はんだ付けが容易だから、はんだ付け温度を 上げすぎたり、はんだ付け時間を必要以上に長くしたりする事は決して良いことではあり ません。

 はんだの合金層は温度と圧力で変化するが、Cu と Sn の相図では低温で形成され る(η層)は 425℃で無くなるとされ、(δ層)や(γ層)は 350℃と 520℃以上で形成さ れるとされています。

 

 図 13 には Cu と共晶はんだにおいて各温度加熱 3 分で金属間化合物の厚さを示します。 温度により結晶相と厚さが変わるのがわかります。