今回は、400 ケーブルを長く試聴させて頂いたインプレッションとなりますが、このケー ブルは一聴して目が醒める感覚を覚える、それほどインパクトのあるケーブルでした。 なお、常時使用している機材は、AK380→NIDEON200 ケーブル→Edition8 となります。 初めに驚くのはシルキーで艶やかな高音。 300 ではシルキーでマット、感覚的には高品質な、いわゆるモニターライクな音質だった のですが、そこに艶が加わり、音楽に存在感が現れてきます。 まず前提として、200 ケーブルの時点で非常に高音質なモニター的高解像です。 大変表現が難しいのですが、感覚を以下に示すと... 【200】 粒立ちが良く輪郭が明確になり、定位が大変良く楽器の距離感、エンジニアの意図を感じ られるレベル。プレー ヤーのテクニック、演出を感じられ、微細なニュアンスの違いや時には些細なミスすら浮 き彫りにします。 ※3 種比較するならポップス、ロック、ジャズ、小編成音楽向きでエッジのある音質です。 【300】 200 からシルキーな音質となりますが、決してナローではなく、200 で表現しきれなかっ た間隙の音を描き出した結果、聴感上、音の繋がりがより良くなりシルキーな聴感に繋が る物と思われます。また、0~の立ち上がりがドラマチックになるので、音楽としての圧も 強くなります。例えれば、ビットデプスを上げたような状態です。 ※3 種比較するならオーケストラ等大編成音楽向きで、楽しさやパンチよりも聴き込みた い、浸りたい方向きです。 【400】 300 とは、また違うカラーでありながら、300 でも出し切れなかったホールトーンや極め て微細なブレスの空気音、一瞬起こる弦とピックが衝突するびびり...このような、「音楽を 構成するスパイスたち」まで、精彩に送り出します。その結果、いわゆる臨場感、レコーデ ィングの状況や、そのホールをご存じの方でしたら、その場面がイメージできるレベルで 再現されます。 ※3 種比較するなら、特に得手不得手はありませんが、上品な印象となる為にパンチが弱 くなる印象があります。 以上のような印象を受けました。 一番驚いたのは、200 で聴いていると、ある曲の一部で、わずかにフランジャーをかけた 様に聴こえるタム回しがあるのですが、400 で聴くとこれが無いのです。 ※フランジャー:音の位相を連続的に変化させることで、音が回っているかのような感覚を 作るエフェクト完璧だと思われた(いや完璧と言えるレベルなんですが)200 ケーブルです ら、揺らぎが発生してしまうのが初めて判明したと共に、資金を投入した機材の天井が、ま だ見えてない事に一番の驚きを覚えました。 また、3 種の進化具合としては、 【200:明瞭で正確な音の再現】 【300:意図せず起こる間隙の音の表現による音楽の再現】 【400:完全な定位と位相の安定、わずかな揺らぎにすら埋もれてしまう微細なスパイスを 再現する事で構成 される現場の再現】 といったところでしょうか。 あくまで比較なのですが、400 を聴いてしまうと、200、300 では表現が「音」の領域から 出ていなかったんだな。。。と感じます。 ある展示会で同席された方に、当機材で聴いて頂いたのですが、400 は音場が広いという 事を仰っていました。 その音源はホール録音の弦楽である為、音場が広いとは、そのホールで起こる反響、残響が 聴き取れるという事であり、本件の証左となる状況となりました。 ただし、上記には 2 つの条件があります。 1:機材の性能に伸びしろがある事。 2:音源が良い事。 1:については、AK380、SP1000 クラス+Edition8、T5 クラスですと、200 からの変化が 分かると思います。 2:については、大手企業の開発したアップサンプリング処理は人工的な無機質音楽に聴こ え、巷のアップサンプリングアプリを使用した音源などは聞くに堪えないレベルになりま すので、お気を付け下さい。また、古い音 源は、当時の機材では聞き逃してしまったと思われる些細なミスなども聴こえてしまう事 があります。 マスタリングの際には、エンジニアの表現したい物を「どんな機材で聴くことを前提につ くるのか」というプロセスがありますので、それを超えた機材で聴くと不満が出てしまう のは仕方がないのです。 しかし、これらを楽しみ、音楽に浸り、その情景を浮かべてニヤリとできる方であるなら ば、是非とも聴いて頂きたいケーブルです。